このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「自動車」です。

 

 すぎてゆく

 

自動車に、

 

わたしの影が

 

うつります。

 

自動車は

 

すぎてゆく、

 

わたしの影は

 

すぐ消える。

 

もう遠い

 

町のはて、

 

春の日ぐれの

 

雲の下。

 

自動車よ。

 

ああ、いまは、

 

誰をうつして

 

ゐるのやら。

 

 

(自動車:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

みすゞさんの時代には自動車は

 

家を買うよりもっと高いくらい

 

貴重なものでした。

 

せめて自分の影だけでも乗ってみたい、

 

と思ったのでしょうか?

 

 

鈴木 澪

 

 

私のかげが自動車にのっていっちゃった。

 

でも私のかげは足元に。

 

今度は誰がのるのでしょうか?

 

大西 進