このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「お菓子賣ひ」です。
母さんに言はない
お菓子賈ひ、
菓子屋のかどを
いくたびも、
行つて、戻つて、
また行つて。
都ことばの
小母さまに、
一つ貰うた
しろい錢、
握つて、握つて
汗が出る。
(お菓子賈ひ:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
私の幼い頃、すぐ近くにあった駄菓子屋へ、
母から毎日10円もらって入り浸っていました。
その時代、10円はけっこうあれこれ買えて、
いろいろと楽しめたものです。
紙芝居屋さんが来ても、
すでに10円使っていたので、
こっそり後ろで見たりしていました。
それを知っているおじさんは
見てみぬふりして大目にみてくれました。
この詩もみすゞさんの子供時代の
お菓子にまつわるエピソード。
今の子供たちには決して味わう事の
出来ない甘酸っぱい思い出です。
鈴木 澪
子どもがお金を手にすることは
全くなかったぼくらの少年時代。
誰かがこっそり「おだちん」をくれても
使い方も知らずにいましたっけ。
お菓子屋の人が「このお金どうしたの」
ってきかれたらどうしよう、
拾ったって言おうか、本当のことを言おうか、
そんなどきどき体験を思い出すのです。
今の子は月給のように月ぎめの
お小遣いがあり、
お年玉もたくさんもっています。
思い出す親の言葉「お金は働いた人に
だけあるもの。
子どもは親に買ってもらえばよい」でした。
お金のありがたさを伝えたい詩です。
大西 進