このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「電燈のかげ」です。

  

 遠足の日の汽車のなか、

 

誰かはうたつて居りました。

 

先生は笑つて居りました。

 

硝子のそとの夕空に、

 

ふつとみたのは、ちろちろと、

 

花火のやうな、消えさうな、

 

電燈のかげでありました。

 

みつめてゐれば、その下に、

 

母さんのお顏がありました。

 

山からかへりの汽車のなか、

 

誰かはうたつて居りました。

 

 

(電燈のかげ:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

みすゞさんの心の中には、いつも

 

お母さんが住んでいたというのがわかります。

 

遠足の楽しい雰囲気の中にいてさえ、

 

何かさびしさがおそってくるみすゞさん。

 

鈴木 澪

 

 

「かげ」の詩は多い。

 

ここでも母の面影を追い求める

 

みすゞさんがいます。

 

大西 進