このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「ゆびきり」です。
牧場の果にしづしづと、
赤いお日さま沈みます。
柵にもたれて影ふたつ、
ひとりは町の子、赤リボン、
ひとりは貧しい牧場の子。
「あしたはきつと、みつけてね、
七つ葉のあるクローバを。」
「そしたら、ぼくに持つて來て、
そんなきれいな噴水(ふきあげ)を。」
「えええ、きつとよ、ゆびきりよ。」
ふたりは指をくみました。
牧場のはての草がくれ、
あかいお日さま、ひとりごと。
「草にかくれて、このままで、
あすは出ないでおきたいな。」
(ゆびきり:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
かわいい恋物語、
夕日が沈むころ、かわいい二人は別れます。
心やさしい夕日は、この二人の為に
明日は出ないでいたい、
と思うとは……みすゞさんの
やさしさが伝わります。
鈴木 澪
少女の願いが感じられる可愛い詩、
どんな絵になるのか楽しみ。
草にかくれて出ないでおきたいな、
と「お日さま」のひとりごとが……。
作曲のとき、こんな初恋みたいな詩は
特に注目でしたから。
マンガみたいな4コマの絵になりそう。
大西 進