このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「おとむらひの日」です。

 

お花や旗でかざられた

 

よそのとむらひ見るたびに

 

うちにもあればいいのにと

 

こなひだまでは思つてた。

 

だけども、けふはつまらない

 

人は多ぜいゐるけれど

 

たれも對手にならないし

 

都から來た叔母さまは

 

だまつて涙をためてるし

 

たれも叱りはしないけど

 

なんだか私は怖かつた。

 

お店で小さくなつてたら

 

家から雲が湧くやうに

 

長い行列出て行つた。

 

あとは、なほさらさびしいな。

 

ほんとにけふは、つまらない。

 

 

(おとむらひの日:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

お葬式の様子が

 

子供の目線で表現されています。

 

死の意味もよく分からない子供にとって、

 

それにまつわる大人たちの複雑さを

 

理解できずにただだまってみているだけ。

 

鈴木 澪

 

 

人の一生がまるごといつもそばにあった昔々。

 

昔々っていっても100年もたってない頃、

 

生まれるのも大きくなるのも、

 

みんな家でした……。どんな時も

 

ご近所や親戚が集まって……。

 

大西 進