このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「水と影」です。

  

 お空のかげは、

 

水のなかにいつぱい。

 

お空のふちに、

 

木立もうつる、

 

野茨(のばら)もうつる。

 

  水はすなほ、

 

  なんの影も映す。

 

水のかげは、

 

木立のしげみにちらちら。

 

明るい影よ、

 

すずしい影よ、

 

ゆれてる影よ。

 

水はつつましい、

 

自分の影は小さい。

 

 

(水と影:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

水は何でもそのままを正直に映します。

 

でも水自身はつつましいと

 

みすゞさんは言います。

 

出しゃばらず、

 

つつましいのが美しいのです。

 

鈴木 澪

 

 

影は「かげぼうし」のかげ。

 

日陰のかげでなく光によって

 

鏡に映るすがたの影。おもかげ。

 

「私はかげになって」

 

といいつづけたみすゞさん。

 

大西 進