このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「不思議な港」です。
ふるい港の大時計、
六時をうへにかかつてた。
ふたつの針はやすみなく、
なぜか左へまはつてた。
朽ちてこはれたさんばしに、
まつ紅な花がただひとつ、
ひるの光にゆらいでた。
黒い、しづかな水のうへ、
お山のやうに、だァまつて、
むかしの船がかかつてた。
そんな港のあるとこは、
どこのお國か、いつごろか。
誰にきいても知りやしない、
それは私の夢だもの。
(不思議な港:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
花の色の豊かな様子が思い浮かびます。
カラフルな海、お花の波を船で行く、
考えたら何とも夢がいっぱいです。
だれも思わないことを常に
考えているみすゞさんです。
鈴木 澪