このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「かりうど」です。

 

ぼくは小さなかりうどだ、

 

ぼくは鐵砲(てつぽ)の名人だ。

 

鐵砲は小さな杉鐵砲、

 

彈丸は枝ごと提げてゐる。

 

みどりの鐵砲、肩にかけ、

 

山みち、小みちをすたこらさ。

 

ぼくはやさしいかりうどだ、

 

ほかのかりうど行くさきに、

 

すばやくぬけて、鳥たちに、

 

みどりの彈丸を射つてやる。

 

みどりの彈丸は痛かない、

 

鳥はびつくり、飛ぶばかり。

 

鳥はそのときや、怒るだろ、

 

でも、でも、ぼくはうれしいよ。

 

ぼくはちひさなかりうどだ、

 

ぼくは鐵砲の名人だ。

 

みどりの鐵砲、肩にかけ、

 

山みち、小みちをすたこらさ。

 

 

(かりうど:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

小動物たちへのやさしい思いやりのある詩です。

 

ここでは、鉄砲で撃たれる

 

山の鳥たちへのやさしい愛情、

 

こんな狩人がいたら本当にうれしいです。

 

自分の気持ちを正直に詩に託すことのできる

 

みすゞさんは幸せな気持ちだったことでしょう。

 

鈴木 澪