このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「女王さま」です。

 

あたしが女王さまならば

 

國中のお菓子屋呼びあつめ、

 

お菓子の塔をつくらせて、

 

そのてつぺんに椅子据ゑて

 

壁をむしつて喰べながら、

 

いろんなお布令を書きませう。

 

いちばん先に書くことは、

 

「私の國に棲むものは

 

子供ひとりにお留守居を

 

させとくことはなりません。」

 

  そしたら、今日の私のやうに

 

  さびしい子供はゐないでせう。

 

それから、つぎに書くことは、

 

「私の國に棲むものは

 

私の毬より大きな毬を

 

誰も持つことは出來ません。」

 

 

(女王さま:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

ひとりでの留守番は何ともさびしい。

 

だからみすゞさんはこんな詩を作りました。

 

いつだって子供の代弁者です。

 

さみしがりやのみすゞさんです。

 

鈴木 澪

 

 

あまいお菓子はめったに

 

子どもの口に入らなかった。

 

今では想像できないけど。だから、

 

自然の中からあまい木の実やなんか

 

さがしてた。

 

さみしい思いのみすゞさん、

 

まっ先に願ったことが、

 

ひとりぽっちのおるすばんがないことでした。

 

でも、ひとりでいるのも好きでしたね。

 

大西 進