このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「さみしい王女」です。

   

 つよい王子にすくはれて、

 

城へかへつた、おひめさま。

 

城はむかしの城だけど、

 

薔薇もかはらず咲くけれど、

 

なぜかさみしいおひめさま、

 

けふもお空をながめてた。

 

(魔法つかひはこはいけど、

 

あのはてしないあを空を、

 

白くかがやく翅(はね)のべて、

 

はるかに遠く旅してた、

 

小鳥のころがなつかしい。)

 

街の上には花が飛び、

 

城に宴はまだつづく。

 

それもさみしいおひめさま、

 

ひとり日暮の花園で、

 

眞紅(まつか)な薔薇は見も向かず、

 

お空ばかりを眺めてた。

 

 

(さみしい王女:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

魔法使いに小鳥にされて、恐い思いはしたけれど、

 

それでも贅沢な王女としての

 

毎日の暮らしにはない自由な時間があった。

 

その時間の方が幸福であったように思うのです。

 

物質だけを追い求めて、本当の幸福を

 

無くしてしまわぬよう考えたいものです。

 

鈴木 澪

 

 

作曲されたこのうたは

 

女声の独唱でよくうたわれる。

 

そのように作曲したからであるが。

 

愛知万博でもプロ歌手がうたい、

 

他のコンサートでもやはりソプラノソロで。

 

みすゞの詩全集のⅢ巻のタイトルでもある。

 

幸せを求め続けた王女とみすゞ

 

さんの思いが重なって胸にせまる。

 

大西 進