そら豆むきむき
きいてゐりや、
となりの子供が
しかられる。
のぞいてみようか、
悪かろか、
そら豆にぎつて
出てみたが、
そら豆にぎつて
またもどる。
どんなおいたを
したんだろ、
となりの子供は
しかられる。
(隣の子供:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
子供は自分以外の子供がしかられている事に敏感である。
まるで自分のことのように気にかかるもの。
ほとんどの子供はしかられながら育って行く。
しかられずに育った子供がいたとすると、
それは本当は可哀想な子供なのかも知れない。
ソワソワと落ち着かない様子と、
そら豆をにぎって行ったり来たりする
みすゞさんの心の表れが言葉の端々に伺えます。
鈴木 澪
今は親子が友人みたいに話したり
あそんだりする姿もめずらしくありません。
昔、子どもは親の手伝いをするのがあたりまえでした。
「勉強しないで仕事を手伝え」
「本を読むより働け」
「詩をつくるより田をつくれ」
のことわざを耳にした世代には、
子どもがしかられているのは
家のことをなにもしないからです。
「あそんでないで用事をしなさい」
これをまもらずにしかられている子が
多かったのを思い出します。
大西 進