このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「お魚」です。

   

海の魚はかはいさう

 

お米は人につくられる、

 

牛は牧場で飼われてる、

 

鯉もお池で麩を貰ふ。

 

けれども海のお魚は

 

なんにもお世話にならないし

 

いたづら一つしないのに

 

かうして私に食べられる。

 

ほんとに魚はかはいさう。

 

 

(お魚:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

みすゞさんの詩の中でも初期の作品で

 

出世作とも言われています。

 

ひとつの宿命を言い表わしている

 

ように思います。

 

弱いものは常に強いものの犠牲になって、

 

この世界は回っています。

 

食べられてしまうものの悲しみ、

 

そして生きるためには

 

食べなくてはならないものの悲しさ、

 

結局「悲しみ」は生きているものにとって

 

背負って行かなければならない

 

「宿命」なのでしょう。

 

鈴木 澪

 

 

お魚=天の恵み、神の恵みをいただいて

 

人は生きつづけてきました。

 

だから、「とりつくさない」で……、

 

必要なだけ「いただきます」

 

と食べてきました。

 

ふと、そんなことを思ってしまう詩。

 

出世作の一つ。

 

大西 進