このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「海のお宮」です。
海のお宮は琅かんづくり、
月夜のやうな青いお宮、
青いお宮で乙姫さんは、
けふも一日、海みてゐます。
いつか、いつかと、海みてゐます。
いつまで見ても、
浦島さんは
陸へかへつた
浦島さんは──
海のおくにの靜かな晝を、
うごくは紅い海くさばかり、
うすむらさきのその影ばかり。
百年たつても、乙姫さんは
いつか、いつかと、海みてゐます。
(海のお宮:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
乙姫さんの浦島さんを待つ思いが切々と
詩の中に込められていますね。
百年たっても……。
みすゞさんの乙女心も、
きっと乙姫さんと同じなのでしょう。
鈴木 澪
琅かん=は青い宝石のこと。
ぜいたくざんまいは結局あきてつまらない。
働いてこそ人生。
浦島さんはおじいさんになり、
鶴になり乙姫さんの亀と千年も万年も思い合う。
鶴は千年、亀は万年のおはなし。
大西 進