ざんざの雨にながされた、
五穀まつりの夜更けて、
いまはちらほら星が出た。
誰もとほらぬ、ぬかるみに、
消えた提灯映つてる。
遠い通りを自転車で、
わつと囃して通るのが、
空ゆくやうに、きィこえた。
ひとつ、ふたつ、みィつ、
お空に星がふゥえた。
どこかの軒の提灯が、
またひとつ、消(きィ)えた。
(雨の五穀祭:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
せっかく準備したお祭りの提灯、雨で流れて淋しそう。
でも、夜にはその提灯の代わりに星が輝き出しました。
提灯と星が対照的になっています。
鈴木 澪
私の子どもの時代(昭和初期)も自転車はあったが、
もってる家はごくお金持ち。
下関はさすが当時の3大都市(東京、大阪、下関)。
近代的なにぎやかさがちょいとのぞいています。
大西 進