おてんとさまの車の輪、
黄金(きん)のきれいな車の輪。
青い空をゆくときは、
黄金のひびきをたてました。
白い雲をゆくときは、
見たは小さな黒い星。
天でも地でも誰知らぬ、
黒い星を轢(ひ)くまいと、
急に曲つた車の輪。
おてんとさまはほり出され、
眞赤になつてお腹立ち、
黄金のきれいな車の輪、
はるか下界へすてられた、
むかし、むかしにすてられた。
いまも、黄金の車の輪、
お日を慕うてまはります。
(向日葵:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
ひまわりの花には、こんなお話があったのですね。
だからお日さまの動くあとを追って回るのですね。
ひまわりはお日さまに捨てられても
お日さまのことが好きなんですね。
いつかまたお日さまを乗せて
この大空を走り回ってみたいと願っているのですね。
とてもけなげなひまわりですね。
鈴木 澪
「ひまわりにはこんな過去があったとは知りませんでした」
とみすゞさんと会話がしたくなる。
ここまでもいくつか不思議さに「ねーみすゞさん……」
と話しかけながら作曲しましたよ。
ひまわりが本当に陽の方へ向いてさくのではないと知っていても、
昔のいいつたえから、こんなやさしい心でみているのですね。
ひまわりは、はずかしくうれしそう。
大西 進
明日もぜひ見て下さいね。
(更新は午前中の予定)