このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「秋は一夜に」です。

 

秋は一夜にやつてくる。

 

 

二百十日に風が吹き、

 

二百二十日に雨が降り、

 

あけの夜あけにあがつたら、

 

その夜にこつそりやつて來る。

 

 

舟で港へあがるのか、

 

翅(はね)でお空を翔(か)けるのか、

 

地からむくむく湧き出すか、

 

それは誰にもわからない、

 

けれども今朝はもう來てる。

 

 

どこにゐるのか、わからない、

 

けれど、どこかに、もう來てる。

 

 

(秋は一夜に:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

四季の変わり目って気がつかず

 

知らないうちにやってきて、ある日何となく

 

「秋だなあ」と感じたりします。

 

日本に四季があって嬉しいです。

 

どの季節もそれぞれにいいものです。

 

鈴木 澪

 

 

大好きな詩。科学的でもあり、

 

昔の人の天気予報と生活のつながりをよくみていて。

 

こうして秋は一直線でなく、夏にもどり春にもどり、

 

その名ごりをのこしつつ一夜に秋は深まるのですね。

 

大西 進