私は田舎の繪をみます、
さびしい時は繪のなかの
白い小みちをまゐります。
向うに見えるは水車小舎
見えないけれどもあの中にや
やさしい番人のお爺さん。
小舎の小かげにやぐみの木に
赤いぐみの實うれてませう。
こつちにみえる山蔭にや
ちいさな村があるのです。
田舎の繪にある小みちには
たれもゐません靜かです。
表にや、せはしい人、くるま
それでも繪のなか靜かです
いつでも、しづかな日和です。
(田舎の繪:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
空想の好きな少女らしい詩です。
確かに絵は多くの想像をかきたててくれるものがあります。
人は絵にロマンをさがして眺めたりします。
鈴木 澪