このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「田舎の繪」です。

 

私は田舎の繪をみます、 

 

さびしい時は繪のなかの

 

白い小みちをまゐります。

 

向うに見えるは水車小舎

 

見えないけれどもあの中にや

 

やさしい番人のお爺さん。

 

小舎の小かげにやぐみの木に

 

赤いぐみの實うれてませう。

 

こつちにみえる山蔭にや

 

ちいさな村があるのです。

 

田舎の繪にある小みちには

 

たれもゐません靜かです。

 

表にや、せはしい人、くるま

 

それでも繪のなか靜かです

 

いつでも、しづかな日和です。

 

 

(田舎の繪:金子みすゞ) 

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

空想の好きな少女らしい詩です。

 

確かに絵は多くの想像をかきたててくれるものがあります。

 

人は絵にロマンをさがして眺めたりします。

 

 

鈴木 澪