今日もみすゞさんのページに
来ていただきありがとうございました。
猫の手舎では一年365日、
毎日みすゞさんの詩と鈴木澪のイラストを
紹介させていただいています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「納屋」です。
納屋のなかは、うす暗い。
納屋のなかにあるものは、
みんなきのふのものばかり。
あの隅のは縁台だ、
夏ぢゆうは、あの上で、
お線香花火をたいて居た。
梁に挿された、一束の、
黒く煤けたさくらの花は、
祭に軒へさしたのだ。
いちばん奥にみえるのは、
ああ、あれは絲ぐるま、
忘れたほども、とほい日に、
お祖母さまがまはしてた。
いつも、夜なかにや屋根を洩る、
月のひかりをつむぐだろ。
梁にかくれて、わるものの、
蜘蛛がいつでもねらつてて、
絲を盗つては息かけて、
呪ひの絲に變へるのを、
晝は眠てゐて知らないで。
納屋のなかは、うす暗い。
納屋のなかには、なつかしい、
すぎた日のかずかずが、
蜘蛛の巣にかがられてゐる。
(納屋:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
納屋の中にあるものは、
みんななつかしいものばかり。
あの日、あの時に使ったものたち。
時間がたって、
くもの巣がはってしまったものもある。
納屋のなかは過去がいっぱいつまった、
まるでタイムマシーンのようだ。
鈴木 澪
なんでも自分の家でつくってた昔。
道具がいっぱいありました。
納屋がなければのき下に。
そして季節がくるたび、表に出して。
五連目のくもの月の光の織り物を
くもの糸にするなんて。
でもくもの巣ほんとにキレイですね。
大西 進
※大西 進先生は、みすゞさんの詩のすべてに作曲された音楽家です。
私、鈴木 澪は先生にみすゞさんの歌を歌うコーラス部に参加し、大西先生に指導をうけました。
そして、先生の影響でみすゞさんの詩にイラストを描くことを始めました。
みすゞさんの詩画集も作っています。
金子みすゞ詩画集(鈴木澪イラスト)
おのおの16点の詩とイラストを掲載しています。
また明日もぜひ遊びに来てくださいね!
お待ちしています。猫の手舎