このページでは金子みすゞさんの
本日の詩をご紹介しています。
「きょうのみすゞさんの詩は・・・」
「海の人形」です。
大きな眞珠のお手まりや、
貝のかずかず、枝珊瑚、
人魚のむすめは飽きました。
陸の子供のもつといふ、
黒いおめめの人形が、
ほしい、ほしいと泣きました。
母さん人魚はいとしさに、
人形抱いた兒の船を、
沈めてそれを奪りました。
むすめは人形みるたびに、
とほいお國がこひしくて、
とうとう海を捨てました。
海の人形はやはらかな、
藻のゆりかごで、すやすやと、
いまも、お夢をみてゐます。
陸の人魚は、ふるさとを、
こひし、こひしと磯でなく、
磯のちどりになりました。
(海の人形:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
無いものねだりのわがまま娘の成れの果て、
それが磯のちどりになりました。
人にはそれぞれ分相応ということがあります。
そして、もちろんその人の役割が
それぞれ有ります。
他人を見て羨ましく思ったり、
妬んだりは愚かなことです。
この詩はみすゞさんからの
我がまま者への警鐘でしょうか?
鈴木 澪