沈む、沈むよ、
濱に出てみれば、
赤い大きな
夕日の毬が。
光る、光るよ、
金いろの絲が、
入り日みてゐる
光(みつ)ちゃんの髪が。
かがろ、かがろよ、
眞赤な毬を、
金の小絲で
麻の葉にかがろ。
(光る髪:金子みすゞ)
『金子みすゞ全集』
(JULA出版局)より
麻の葉の模様は平安時代から
仏像の装飾などに使われてきました。
麻の葉柄は子供の健やかな成長の
願いが込められていて、魔よけの意味もあり、
昔から産着の柄として親しまれてきました。
夕日を見ていた友達の金色に輝く髪の毛を糸に
夕日をその麻の葉柄の毬にしてしまおうとは
発想が豊かであるとしか言いようがないですね。
鈴木 澪
お友達のことをこんな風にみているなんてすてきです。
夕日はほんとにキレイです。
でもその光より光ちゃんの方がキレイでした。
だからその糸で美しいものがまたうまれるのですね。
みすゞさんの心の広く深いこと。
大西 進