このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「蝉のおべべ」です。

  

母さま、

 

裏の木のかげに、

 

蝉のおべべが

 

ありました。

 

蝉も暑くて

 

脱いだのよ、

 

脱いで、忘れて

 

行つたのよ。

 

晩になつたら

 

さむかろに、

 

どこへ届けて

 

やりましよか。

 

 

(蝉のおべべ:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

せみのぬけがらを暑くて脱いだおべべというあたり、

 

童心を忘れないその感性に

 

思わずにっこりしてしまいます。

 

夜になって冷えてきたら、そのおべべを

 

届けてあげたいとみすゞさんは思います。

 

鈴木 澪