このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「薔薇の町」です。

 

みどりの小徑(こみち)、露のみち、

 

小みちの果は、薔薇の家。

 

風吹きやゆれる薔薇の家、

 

ゆれてはかをる薔薇の家。

 

薔薇の小人はお窓から、

 

ちひさな、金の翅みせて、

 

おとなりさんと話してた。

 

とんとと扉をたたいたら、

 

窓も小人もみな消えて、

 

風にゆれてる花ばかり。

 

薔薇いろのあけがたに、

 

たづねていつた薔薇の町。

 

その日

 

わたしは蟻でした。

 

 

(薔薇の町:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

バラは美しい花の女王。

 

そんなバラの町をアリになって

 

訪ねるみすゞさん、

 

さぞかし夢のような町だったことでしょう。

 

鈴木 澪

 

 

こんどはアリになって、絵のような詩。

 

ゆびきり/はだし/ばらの町、

 

なんだか四編の組詩のよう。

 

大西 進