このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「七月の笹」です。

  

 みちを忘れた子雀が、

 

濱でみつけた小笹籔。

 

五色きれいな短册は、

 

籔のまつりか、うれしいな。

 

かさこそもぐつた籔のなか、

 

すやすやねんね、そのうちに、

 

お宿は海へながれます。

 

海にしづかな日が暮れりや、

 

きのふのままの天の川。

 

やがてしらじら夜があけて、

 

海の最中で眼をさます、

 

かはい子雀、かなしかろ。

 

 

(七夕の笹:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

 

(JULA出版局)より

 

 

道に迷った子雀は遊び疲れていたのでしょう、

 

無邪気な子雀は事の重大さに気がつかず、

 

きれいな短冊が付いた笹に気をとられ、

 

気持ちよくお昼ね、さてその後がたいへん。

 

海まで流されるまでの様子が、

 

五色の短冊、天の川で

 

美しい情景となって表現され、

 

子雀の気持ちが最後の言葉

 

「かなしかろ」に

 

集約されています。

 

鈴木 澪

 

 

ささのはさらさら、五色のたんざく、

 

あのうたのように昔どこでも

 

あったことが、この詩でわかります。

 

このうたは、みすゞの師、

 

西條八十のうたをわすれた

 

カナリアと同じ目線かな、

 

なんて思います。

 

大西 進