このページでは金子みすゞさんの

本日の詩をご紹介しています。

 

「きょうのみすゞさんの詩は・・・」

 

「瀬戸の雨」です。

  

ふつたり、やんだり、小ぬか雨、

 

行つたり、来たり、わたし舟。

 

瀬戸で出會つた、潮同志、

 

「あなたは向うへゆきますか

 

わたしはこつち、さやうなら」

 

なかはくるくる、渦を巻く。

 

行つたり、来たり、渡し舟、

                     

 ふつたり、止んだり、小ぬか雨。

 

 

(瀬戸の雨:金子みすゞ)

 

『金子みすゞ全集』

(JULA出版局)より

 

 

とてもリズミカルな詩だと思いますが、

 

これはまさに人生の縮図を

 

表しているかのような気がします。

 

複雑な人の心や、思い通りに行かない日常の世界、

 

翻弄されっぱなしの日々の暮らし、

 

それでも同じところを行ったり来たりしている。

 

所詮、人間なんてそんなものかも……、

 

って思ってしまいます。

 

鈴木 澪

 

 

「瀬戸」といえば「瀬戸内海」のことを

 

誰もが思う、と思うのですが、

 

仙崎と青海島のほんの50mか100m

 

くらいの間の海をうたったもの。

 

今は橋がかかって車が通ります。

 

  舟つき場はのこっています。  

 

大西 進